エアコンの撤去と新設方法

エアコンの取り外し方

 エアコンの冷媒には現在はフロンガス(HFC冷媒、R32かR410A)が使用されており、故意に大気中に放出することは法律で禁止されております。そのため、エアコンを撤去する際は冷媒管の中にあるフロンガスを室外機の中に送り密閉する作業(真空引き)が必須となります。また、この作業を行うにあたっては「真空ポンプ」と「ゲージマニホールド」、「コントロールバルブ」の機器と器具が必要となります。

  1. ゲージマニホールドの3本ある継手の左側青色(低圧側)のゲージの下に青色の管を、真ん中の継手に黄色い管を差し込む。なお、この際に管の端部の形状が真っすぐな方を差し込む
  2. 青色の管の反対側の端部(曲がっている方の継手)にコントロールバルブを接続して、黄色い管の端部に真空ポンプを接続する
  3. エアコン室外機の右側についているカバーを取り外す
  4. 事前にコントロールバルブが閉まっている事を確認した上で、室外機の低圧側サービスポート(冷媒管が接続されている継手の下側の方)にコントロールバルブを接続する
  5. ゲージマニホールドの「青色のバルブ」は「開き」、「赤色のバルブ」を「閉める」
  6. 【エアパージ】真空ポンプのスイッチを入れ、青色のゲージが-0.1Mpaを示すことを確認する
  7. 青色のバルブを閉める
  8. 【圧力測定】コントロールバルブを開け、圧力を測定する(その日の気温にあったフロンガスの圧が取れて入ればOK、気温26°で1.5~6Mpa程度)
  9. 黄色の管を真空ポンプから取り外す(この際、真空ポンプのスイッチは入れたまま)
  10. 黄色い管を取り外した後に真空ポンプのスイッチを切る
  11. 室外機を動かす前の準備として、室外機の冷媒管との継手部分にあるバルブ(袋ナットの下に隠れており、六角を使用して開け閉めする)を上下ともある程度絞っておく(全閉状態から90°開いた状態にしておく)
  12. エアコンを強制運転させ、室外機のコンプレッサーを作動させる。なお、エアコンの強制運転方法は機種によって異なるので、取扱説明書等を確認すること(分からない場合は急速冷房や最低の設定温度にして冷房を運転させる)
  13. 室外機のコンプレッサーが作動しているのを確認してから(音がする)、室外機の冷媒管継手のバルブの高圧側(上側)を11の作業同様、六角レンチを使って閉める
  14. 【ポンプダウン】ゲージマニホールドの青色のゲージが0Mpa強(0.01Mpa程度)を示したところで低圧側(下側)の冷媒管継手のバルブを閉める(このとき-0.1Mpaなどの負圧になってしまうと冷媒管を室外機から外した際に、冷媒管の中に粉塵を吸い込んでしまいエアコンの故障の原因となるので注意する)
  15. エアコンのスイッチを切り運転を停止させる
  16. 【終了】低圧側サービスポートよりコントロールバルブを取り外し、低圧側、高圧側ともに冷媒管を室外機から取り外す

エアコンの新設の仕方

  1. エアコン室内機および室外機の設置個所が付属の設置説明書の条件にあっているか確認する
  2. 冷媒管の出し位置、電源およびアース線の配線ルートを確認する。また、この際に木造でエアコンスリーブが無い場合は、筋交に干渉しない様に注意しながら、ホールソーを用いてφ75~80のスリーブを開ける
  3. 位置が決まったら据付板を壁に留め付ける(下地が入っていない場合は石膏ボード用の金属製アンカーを用いる)
  4. 室外機側から電気連絡線(φ1.6mmかφ2.0mmの三芯Fケーブル)を伸ばして室内機に接続する。またこの際にアース線もコンセントまでの距離を見ながら室内機に接続する
  5. 室内機についているフレアナットを外して、冷媒管に通したのちに冷媒管のフレア加工を行う。なお、この際に切粉やごみが冷媒管内に入らない様に十分に注意する
  6. 室内機に冷媒管を取り付ける。なお、この際にエアコン専用のトルクレンチを用いて規定トルクが出るまでフレアナットを締める。また、室外機までの冷媒管ルートの関係で屋外側から冷媒管を通した状態で冷媒管をつなぐ時は室内機を据付板に引掛けた状態で接続作業を行う
  7. ドレインホースと冷媒管と電気連絡線をビニールテープなどで束ねて、管がつぶれない様に十分に注意しながら管を曲げてスリーブまでの経路を配管する。なお、この際に曲げる角度が緩いとエアコンが壁から浮いて設置されてしまうので注意する。また、ドレインホースと電気連絡線が接しない様に冷媒管を間に挟んで縁を切る
  8. 冷媒管の曲げ加工が終わったら、ドレインホースと冷媒管と電気連絡線のスリーブ貫通部分の屋外側から室内機までの経路を先行して配管保護テープで巻きあげる。この時、配管保護テープは下流側からテープの幅の半分が重なるように巻くように注意する
  9. 屋外側の冷媒管のルートを確認しながら室外機の冷媒管接続部分より1~2センチほど余長を見たい位置で冷媒管をカットする。なお、この際に切断したい箇所の前後10センチぐらいを2本の冷媒管のつなぎ目部分を手で割き、保温材を縦にカッターで割いて切断位置の銅管をむき出しにした状態でパイプカッターを回しながら銅管を切断する(小さなパイプカッターの方が銅管を曲げる角度が小さくなりフレア加工がやりやすくなる)
  10. 冷媒管を切断したら、室外機側のフレアナットを外して冷媒管に通したのちに冷媒管のフレア加工を行う。
  11. 室外機カバーを外し室外機のバルブキャップを外したら、フレア加工をした冷媒管を室外機につなぎこむ。この際に、室内機同様にエアコン専用のトルクレンチを用いて規定トルクが出るまでフレアナットを締め込む。また、室外機の継手付近の冷媒管の曲がりが急になりすぎて管がつぶれてしまうことが無いように曲げ角度には十分に注意する
  12. 室外機への冷媒管の接続が完了したら、電気連絡線を冷媒管に沿ったルートで室外機にも接続し、室内機から伸びているドレインホースを用意したドレインホースに接続し、地面より浮いた長さでカットする
  13. 真空引き(エアパージ)を行うために室外機のサービスポートにゲージマニホールドの青色管(低圧側)を接続し、ゲージマニホールドの黄色管に真空ポンプを接続して、ゲージマニホールドの青色側のバルブを開いている状態で真空ポンプのスイッチを入れ、約15分程度(もしくは設置説明書に記載の時間)真空ポンプを稼働し続けて、室内機と冷媒管内の空気を真空にする。所定の時間がたったら、ゲージマニホールドの青色側のバルブを閉めて、黄色管をポンプから外してから真空ポンプの電源を切る。なお、ゲージマニホールドのバルブを閉めた際に、圧力が負圧から0気圧まで戻ってしまう場合は配管継手の施工不良で漏れが生じていることになるので、そうなった場合は継手の施工状態を確認する
  14. 真空引きが終わったら、ゲージマニホールドが付いている状態でガス側(管径が太い側)のポートのバルブを6角レンチを使用して少しだけ開け、ゲージマニホールドの計測圧力が少し(0.5Mpa程度)上がったら、一旦バルブを閉め、継手部分に漏れが無いか専用の「ガス漏れチェックスプレー」を吹き確認する。問題が無ければガス側(太い方)と液側(細い方)のバルブを全開から半戻し程度まで開く
  15. 継手部分に問題が無ければ、室内機同様に冷媒管とドレインホースと電気連絡線を下流側から保護テープで巻いていく。この時に室外機のバルブ付近はフレアナットが保温材で被るように1本ずつ保護テープで巻き、2本の管が接するあたりで電気連絡線やドレインホースと重ねてまとめて保護テープを巻く
  16. ゲージマニホールドを外していない状態で、冷房側で室内機の強制運転のスイッチを入れて試運転を行う。この際に、ゲージマニホールドが示すガスの温度とガス側のバルブ根本の銅管表面温度の差が5度~8度あると正常な状態という目安となる(表面温度の方が高い)
  17. 試運転を行い問題が無ければ、一旦運転を止めて、ゲージマニホールドの青管内のガスを室内機に戻すために、エアコン取外しで行ったのと同様の工程で真空引きを行う。まず、六角レンチを用いて室外機の液側(細い管)のバルブを閉め、ガス側のバルブを全閉から半開させた状態にする。次に、室内機側の強制運転スイッチを入れて、室外機のポンプを稼働させる。その状態でゲージマニホールドの示す圧が0気圧を示したところで、半開にしているガス側のバルブを全閉にする。この状態になると室内機と冷媒管と一緒にゲージマニホールドの青色管内も真空となっているので、サービスポートから青色管を外す。
  18. ゲージマニホールドの青色管が外せたら、再度、ガス側と液側のバルブを開けて(全開から半戻し)冷媒を室内機側にも戻し、バルブキャプを締めて室外機カバーをねじ止めし戻しておく

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