タイル工事

  • 50二丁掛けの外装用モザイクタイル(300角シート)を芋目地で貼る方法の解説です。
  • 下地は左官の授業で作成した900センチ角程度の木枠付きモルタル下地になります。

タイルについて

  • タイルは吸水率の違いによって、磁器質タイル・炻器(せっき)質タイル・陶器質タイルに分かれ、外装用のタイルは吸水率3%以下の磁器質タイルを用いる。お風呂場の壁などに内装用陶器質タイルが使われることがあるが、昔は裏に回ってしまった水分が冬場に凍ってタイルが割れることもあった。
  • 国産タイルの大きさ(呼称)の元はレンガの大きさと合っていて、関東大震災の影響でレンガ造りの建物が作られなくなった代わりにレンガを薄くスライスして貼り付けたことから来ている。
  • 床用のタイルは滑り止めの為に表面がざらついている物が多いが、コンビニなどで使われる600角の床用タイルは清掃のしやすさを優先して滑り止め加工はされていないことが多い。また、床用のタイルは大判になればなるほど下地の不陸の影響を受けやすくなるので、施工が難しくなる。
  • 外装用タイルは50mm二丁タイルを使うのが主流

下準備

  1. 水平レーザー等を用いて陸墨とセンターに芯墨を出す
  2. タイルの割付を検討する(シートの場合は特に歩留りも考慮する)
  3. 左右2辺の内法高さを採寸し、低い方を基準とする
  4. 低い方の辺に高さ方向のタイル割付の墨をつける。なお、この際に目地の片方一辺を含めた寸法にて割付する(どちらの辺に目地を取ったかも忘れないこと)
  5. 陸墨と近くのタイル割付の墨との距離を測り、反対側の辺に同じ位置(陸墨からの離隔位置)にタイル割付の墨を付ける
  6. 上で付けた墨を基準に反対側の辺もタイル割付の墨を付ける
  7. 水平方向のタイル割付の墨出しは、端部のタイルのカットが出来るだけ大きくなる様に、目地芯合わせにするのかタイル芯合わせにするのか検討して、タイル割付の墨を付ける
  8. タイル割付の墨に合わせて左右両端部分の上下に千枚通しを使って糸を張る
  9. 糸から端部(枠)までの距離を指矩等を使って上下・中央部の3か所測り、一番少ない寸法から目地幅分を引いた寸法を書き出しておく(左右とも同じ作業を行う。なお、どちらか1方が目地が2本となり、反対側が目地が1本となり、辺によって減じる目地幅寸法が変わって来るので注意する)
  10. タイルカッターを使って必要な枚数分、上記で算出したタイルをカットする。なお、カットした1枚目は正しい寸法でカット出来ているか確認の為に、実際に糸をハッテある箇所に合わせて間違いが無いか確認してから残りのタイルをカットする

タイル貼り

  • タイルの貼り始めは右利きの場合は左上のマモノのシートとし、最上部の1段目を最初に貼り、あとは足場の長さに合わせて列ごとに下に貼って行く
  • 1回の作業で貼る面積はその時の気候にあわせて貼り付け用モルタルが乾かない範囲とする
  • 貼り付け用のプレミックスモルタルはタイルの裏の凹凸が大きなタイルはT-3、小口タイルなど裏の凹凸が小さいタイルはT-2を用いる(中に入っている珪砂の大きさが違う)
  1. 1段目の下端に墨にあわせて糸を張る(準備で張った縦の糸はそのまま残す)
  2. 糸に合わせたタイルを貼る範囲に貼り付け用モルタルを塗る。なお、モルタルは2回に分けて塗り、1回目は1~2ミリ、2回目は裏の凹凸の高さにあわせて塗り厚を調整する(実習では2~3ミリの裏の凹凸に対して、2回目の塗り厚が2~3ミリで合計4ミリ程度)なお、この時に塗るモルタルはコテ跡が付いても構わないので、モルタルが乾燥しない様に手際よく塗る
  3. 2回目のモルタル塗りが終わったら、凹凸のへこみ部分までモルタルがしっかりと付くかタイルの端材を使って確認する
  4. 1枚目のタイル(シート)を糸に合わせて貼る。なお、この際に左右の縦糸には位置をあわせて貼りこむが高さ方向は高め(目地幅分程度)に貼り付けて、たたき台などを用いて軽く叩くことでタイルの位置を下に動かしながら位置を合わしていく
  5. 2枚目のタイルを貼る際は割付の墨を参考に(あくまでも参考程度にし、目地の幅は直前に貼ったタイルに合わせる)横位置を合わせながら、1枚目のタイル同様に上から叩きながら横の目地が1枚目と通る様に貼って行く
  6. マモノのタイルが貼り終わったら、準備段階で切断したタイルを1枚づつ目地を合わせながら貼る。なお、1枚づつタイルを貼る際はハンマーの柄の部分を用いて軽く叩きながら位置を合わせる
  7. 1段目のタイルが貼り終わったら、下に飛び出ている余分なモルタルを金鏝等を用いて軽く取り払っておく
  8. 次の段を貼る際は4~7までの作業を繰り返し(そのたびに水平の糸を張る)最下段まで張り上げる
  9. タイルが触っても動かない程度に乾いたら、目地鏝を使用して目地部分に飛び出ている余分なモルタルを削り取り、チリ刷毛を用いてモルタルの粉塵を取り除く(モルタルを取り除く深さはタイルの厚みの半分程度でよい)
  10. 最後に濡れたスポンジを使ってタイル表面の汚れや紙シートの糊を取り除く

目地埋め

  1. 耳たぶの柔らかさ程度に練った目地材をゴムへらを用いてタイル仕上げ表面に塗り、目地の溝を目地材で埋めていく。目地部分に材がしっかりと入ったのを確認したら、コテを立ててタイル表面に付着している目地材を取って行く(薄く表面に残る程度でよい)
  2. 目地材を全数埋め終わったら濡れたスポンジを使ってタイルの表面と目地部分をキレイにしていく。一番初めに目地部分を中心にスポンジで表面を慣らして、そのあとに全体のタイル表面に付いた目地材を取り除いていく。この際によく絞ったスポンジの面全体を使って直線状にスポンジを動かすときれいに目地材が除去しやすい(都度、スポンジは水で洗い常にきれいなスポンジ表面にしてから目地材を除去する)
  3. ある程度タイル表面から目地材を取り除くことが出来たら、際の良くスポンジが入らなかった部分などを目地鏝を用いて平らにならす(余分な目地材を取り除き平滑にする)
  4. 最後に、バケツの水を汚れていないキレイな水に取り替え、スポンジもキレイにゆすぎ、そのスポンジを用いて仕上げの洗い作業をおこなう

タイルの剥がし方・貼り直し方(大規模修繕工事)

  • 打診検査で浮きがある部分は剥がさずに目地部分から接着剤を圧入して接着を確保する
  • ひび割れが入っているタイルは剥がして、再接着の上目地埋めを行う
  1. 貼り替えが必要なタイルの周りを一回り大きくマスキングテープで囲む。なお、その際はがれにくいようにに各辺ごとにテープを切断してテープが1本でつながらない様にしておく
  2. 剥がすタイルの目地部分を全周グラインダーを用いて切り込みを入れる。(コーナーはカットする部分がコーナーより少し飛び出る入るようにする)なお、この際にグラインダーの刃が入り込みすぎて外壁下地を傷つけないように注意すること(傷つけてしまった場合は下地の補修工事が必要となる)
  3. 目地の部分が切り終えたらタイルが壊しやすいようにタイル部分を斜め45度に目地部分同様にグラインダーを用いて切り込みを入れる。なお、この際に剥がさない周囲のタイルを傷つけない様に注意すること(傷つけてしまった場合は、剥がして新しいタイルに交換となる)
  4. コンクリート針とハンマーを用いて上記で切断したタイルを撤去する
  5. 周囲の目地材を剥がさないタイルの際までコンクリート針を用いてきれいに撤去する
  6. 接着材のモルタルも下地がでるまでコンクリート針を用いて撤去する
  7. 新規のタイルを貼る際はまず、剥がした部分の下地面に接着用モルタルを塗り、次に新しいタイルの裏面にモルタルを塗り、その上でタイルを貼りつける。なお、余分なモルタルが目地部分に十分にはみ出すまで上から叩き密着させること
  8. 余分な目地材を目地鏝を使って撤去して、新たな目地材を充填する

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