塗料について
(座学時にテキストで使用された資料はこちら)
https://www.toryo.or.jp/jp/book/nurikae-2012.html
- 溶剤の種類は水性・弱溶剤(油性)・強溶剤の三種類があり、溶剤系は臭気の問題があるため建物(住宅系)では使われるのは現在はほとんど水性である。(水性は水で、弱溶剤は塗料用シンナーで、強溶剤はラッカーシンナーやウレタンシンナーを使用して希釈する)
- 塗料の基材は①アクリル塗料②ウレタン塗料③シリコン塗料④エポキシ塗料⑤フッ素塗料の5種類あり、①から順番に価格が安価となり耐久性は低くなる。外壁に使用する際の耐用年数は、①アクリル塗料が7〜8年②ウレタン塗料が10年③シリコン塗装が12年⑤フッ素塗料が15〜20年となっており、他のシーリング防水材などの耐用年数を考えると③シリコン塗装がオススメ(④エポキシ塗装は密着性が一番優れるものの、紫外線に弱く外装材の仕上げ塗料では使用されず、シーラー材・プライマー材、錆止め塗料、内装用床シート材の接着剤などに使用される)
仕上げの表現(仕様)について
- 薄付け仕上げ塗材:「リシン吹付け」最も安価だが、塗膜が薄く防水効果が見込め無いので、使用できる部位が軒天やバルコニーの庇など限定される
- 複層仕上げ塗材:「吹付けタイル」(防水性が必要な場合は「弾性吹付けタイル」)タイル調の外観となる仕上げ方法
- 厚付け仕上げ塗材:「スタッコ」吹付タイルよりも凹凸が大きくなる仕上げでマンションであれば秀和マンションで使われている仕上げ方法(補修工事も大変なので、最近は採用されることが少ない仕上げ)
- 防水型外装薄塗材:「単層弾性」、「さざ波」とも言われ特殊なローラー(砂骨ローラー、多孔質ローラー、マスチックローラー)を使用することでローラー塗りも可能な仕上げ方法(マンションの外壁では近隣対策で吹付施工が減り、ローラー塗り施工が増えている)
筋交刷毛の使い方
- 筋交刷毛は鉛筆持ちとする
- 最終的に縦に刷毛目の跡が残る様に原則上下に刷毛を動かして塗る(横に刷毛を動かした場合は塗料が乾く前に素早く縦方向に上塗りして縦の刷毛目を入れておく)
- 端部から塗り始めずに、端部の少し下から下方向に少し(15〜20センチ程度)塗った所で上方向に折り返し、上側端部まで行ったら再度下向きに塗り重ねて下側端部まで直線状に塗り下げる
- 横方向の端部の処理は、刷毛を寝かして横に払って塗り、その直後に同様に刷毛を良き向きにして刷毛の側面使って上下に払って縦の刷毛目をつけておく(コーナー部分の処理も同様の塗り方を行いコーナーの隅に塗料を入れる)
- 仕上げの塗料を塗る際は最も塗るのが難しい箇所から塗り始める
- 【ダメ込み塗り】直線状の際を塗る塗り方。筋交刷毛を鉛筆持ちし、人差し指で上から刷毛に力をかけて刷毛を扇状に広げて、広がった刷毛の先を使って端部に塗料を乗せる
- 【棒塗り】際以外の面を塗る塗り方。筋交刷毛を横に寝かして側面を使って上下に刷毛を動かしながら塗る。面を塗る際は右上から塗り始める。①はじめの1列は上から下に直線状に塗る②次の列は①の列際からスタートして同様に上から下に塗る③前に塗った2列の中心を(=刷毛の幅の半分戻る)今度は下から上に塗っていく(上から下に1回塗り、半分戻って下から上に1回塗り重ねる)
ローラー刷毛の使い方
- ローラー用バケツに塗料を入れてローラーに十分に塗料をしみこませたらしごき用のネットを使って余分な塗料を良く落とす。なお、この際にローラーは上から下に転がしてしごくこと(下から上に動かすと飛沫が自分にかかる)
- 事前に刷毛でダメ込み塗りを行った際の部分をローラーの根元部分を用いてローラーの模様をつけていく(刷毛目の跡が残るのは1センチ以内になるようにする)
- 際の処理が終わったら刷毛の棒塗り同様に上から下に1回塗りした後に、半分戻って下から上に1回塗り重ねながら塗り進める
- 仕上げ塗はローラーを下から上に転がしながらローラーの幅分ずらしながら塗り上げる(上から下には転がさないこと)
調色の方法
- 白色の塗料に作りたい色に一番多く含まれている原色から順に混ぜて調色を行う
- 黒などの濃い色は少量でも色の変化が大きいので少量ずつ混ぜるのとあわせて、塗料の中に溜りとなって残りやすいので十分にかき混ぜて完全に溜りを消してから色合わせを行うこと(塗料バケツの縁などにつくと調色後に触ってしまい仕上がりに影響するので注意すること)
- 色見本帳と色を合わせる際は台紙に乗せた色を指を使って薄く延ばし、よく風にあてて完全に乾燥させてから色見本帳との色合わせを行うこと(乾燥していないと発色が違ってみえるので)
塗装2級技能士試験模擬課題
- ラワン合板には表裏があるため、毛羽立ちが多く、製品のシールが貼ってある方が裏面となるので、表裏を確認し、表面に施工する
- #240程度の紙やすりで木目に沿って塗装面に紙やすりを当てる
- ダスター刷毛を使用して木粉を完全に取り除く(ここまで「素地調整」)
- 課題で素地調整部分を残す指示がある場合は、指定の幅でケガキ線を書き、ケガキ線がパテ処理でつぶれない様にケガキ線に重なるようにマスキングテープを用いて養生をする
- パテを適量プラスチック製ヘラを用いて盛り板の上に載せて、板の上でパテをクリーム状になるまで良くしごく。この時にプラスチック製ヘラは親指と人差し指で側面を押えて保持して、上から下に延ばしたパテを下から上にすくい上げ、そのままヘラを反転させて他のパテと混ぜ、これを繰り返し行う
- パテは施工部分の左上から上下に金属製のヘラを用いて施工面に塗っていく。この際、パテを途中で継ぎ足さない様に上から下まで1回で塗るようにする。また、下の際は下から上に垂直にヘラを動かしながら処理を塗る(この作業を「パテかい」「パテしごき」「パテ地付」などと呼ぶ)
- 1回目のパテかいは合板の木の木目を潰す目的で薄く塗る(パテをよくしごき取ること)
- パテが乾いたら、パテかいした表面を滑らかにするのとあわせて凹凸部分の段差を無くす為に素地調整で用いた紙やすりを使ってペーパーを当てる。なお、その際に空いている片方の手を使って表面が滑らかになっいるかを触って確認しながらペーパーを当てる
- ペーパー当てが終わったら、ダスター刷毛を用いて研磨して出たパテの粉塵を取り除く
- 2回目のパテ塗り(パテ地付)は平滑な塗装面を作る目的で、下地の木目が薄っすらと見える程度の厚さに塗る
- パテを乾燥させている間(もしくはこの後のシーラーを乾燥させている間)に塗料の調色をおこなう
- パテ地付が終わり十分に乾燥したら、ヘラの跡や凹凸やザラつきが無くなるまでペーパーを当てる
- パテ地付けを残すように課題の指示がある場合は、4.と同様に指定の幅でケガキ線を書きマスキングテープで養生をする。なお、この際に後工程で養生部分が汚れない様に新聞紙を用いて下地を残す部分を覆い隠すように養生すると良い
- 10号刷毛を使って棒塗りでシーラーを塗布する
- シーラーが十分に乾燥したら、ペーパーを当てて表面のザラつきを無くし、ダスター刷毛でホコリを取り除く
- HBの鉛筆で図面通りのケガキ線を引く(技能士試験の時は鉛筆、コンパス、1mの鉄定規の他に下に敷く垂木は自分で用意して会場に持ち込む)なお、試験の際は書き直しが出来ないので書き損ねには十分に注意する
- ケガキ線のコーナーや際を刷毛を使ってダメ込み塗りをする。なお、この際に鋭角のコーナー>直角のコーナー>鈍角のコーナー>アーチ状の部分の順に塗り、横の刷毛目が残らない様に素早く縦に塗り重ねること(横の刷毛目跡は減点対象となる)
- ローラーで仕上げる箇所はダメ込み塗りが乾く前にローラー塗りを行えるようにダメ込み塗りをする段階からローラーの準備をしておくと良い。また、ローラーを充分にしごいておかないとローラーでの際の処理の際に余分な塗料が垂れ落ちてしまうので注意すること
- 刷毛塗りで仕上げる箇所は特に刷毛の運びが仕上がりで見えてくるので、途中で塗り継ぎが起きない様に注意すること